この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
別居した配偶者から、離婚、慰謝料、財産分与及び婚姻費用の請求を求める調停を起こされた事例です。相談者の方はどうしていいか分からずご相談に来られ、受任することになりました。
解決への流れ
相手方は依頼者のモラハラを原因として慰謝料を求めていました。依頼者は精神的に若干患われていたため、精神科の診断書等を提出するなどして、依頼者の言動にもやむを得ない事情がある旨主張しました。婚姻費用については、別居後、依頼者は任意で支払っていましたが、その額が適正か確認する必要がありました。そこで、双方の収入に照らし、再計算したところ、従前支払っていた金額の半額程度が適正であることが判明しました。なお、依頼者の方は自営業者であったため、確定申告資料等から所得を厳密に割り出しました。また、財産分与については、相手方の財産状況が自発的に開示されない状況でした。そこで、通帳の履歴・書込等の細かい資料から、保険や預金の存在を追及したところ、開示に結びつき、相手方名義の財産が相当額判明しました。最終的に調停で離婚が成立しましたが、依頼者は慰謝料を支払わず、婚姻費用(養育費)については、相手方が当初求めていた金額から減額した適正な金額となり、財産分与についても、依頼者の方が想定していなかった程度に取得するかたちで終結することができました。
離婚に伴う慰謝料を請求するケースで、他方配偶者の「モラハラ」が問題となることがありますが、「モラハラ」を慰謝料が認められる程度の不法行為とするためには、丁寧な主張・立証が必要です。また、婚姻費用・養育費の算定に当たって、自営業者の収入は確定申告書の記載をもとに割り出しますが、経費(例えば現に支出のないもの)の処理で争いになることがあります。財産分与については、分与額を決める前提として、双方名義の財産の全てが明らかになる必要がありますが、自発的に開示してこないケースもあります。そのような場合、通帳履歴や郵便物等の資料から追及して開示を求めたり、弁護士会照会等の手続を利用したりする必要があります。本事例は、以上のような点に注意を尽くして進められたため、ご納得のいただけるかたちでの解決に結びついたと思われます。