この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
事故による怪我の治療を継続されている段階でのご相談であり、相談内容は保険会社から提示のあった過失割合の妥当性でした。事故態様をお聞きする限り,保険会社提示の過失割合は妥当な割合でした。しかし、依頼者は今後の賠償交渉等についてもご不安に思われていたため、ご依頼いただくことになりました。
解決への流れ
治療を継続しましたが、頚部の痛みは治まらなかったため、後遺障害の申請を行うこととなりました。医師から作成してもらった診断書には、MRI等の画像や各種検査の結果は異常がないとの記載があり、依頼者の症状を裏付ける客観的な所見はありませんでした。他方、事故により依頼者が乗っていた車は大きな損傷を受け、廃車になっていたことから、依頼者には相当強い衝撃が加わったこと推測できました。また、依頼者は保険会社からの治療費の支払いがなくなった後(症状固定をした後)も自費で通院を続けていたことから、症状が強く残っていることも推測することができました。そこで、後車の損傷状況を示す資料(車の写真や修理の見積書)や症状固定後に通院していたことを示す資料(治療費の領収書)を資料に添えて、後遺障害の申請を行いました。申請の結果、頚部の痛みについては、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号の後遺障害が認定されました。その後、認定された後遺障害を元に保険会社と示談交渉を行い、裁判基準に近い金額で示談することができました。
交通事故による怪我の中でもっとも多い頚椎捻挫等のいわゆる「むち打ち」は、痛みや痺れ等の症状があっても、その症状を裏付ける客観的な所見がないことがほとんどです。後遺障害の認定を行う機関は、認定の判断にあたって客観的な所見の有無を重視する傾向にあるため,むち打ちの場合は、後遺障害が認定されないことも少なくありません。症状を裏付ける客観的な所見がない場合であっても、本件のように、事故による衝撃の強さや症状の強さを推測させるような資料を提出することによって、後遺障害が認定される可能性があります。