この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
交通事故から約3ヶ月後に,後遺障害の申請や示談交渉等の今後の対応について相談したいとのことで当事務所にお越しいただき、ご依頼をお受けしました。
解決への流れ
事故後,約8ヶ月間治療を継続しましたが,左手関節の痛み及び可動域制限が残存していたことから,症状固定し,後遺障害の申請を行いました。その結果,「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として,後遺障害等級12級6号の後遺障害が認定されました。その後,保険会社との間で認定された後遺障害等級を前提に示談交渉を行いました。示談交渉の中で大きな争点となったのは逸失利益でした。逸失利益は,交通事故による後遺障害がなければ将来得られたであろう収入等の利益を指しますが,本件ではどれくらいの期間にわたって後遺障害の影響が及ぶか(労働能力喪失期間の問題)という点が争われました。保険会社は,依頼者のレントゲン等の画像を見る限り,長期間に渡って後遺障害の影響が及ぶとは考えられないことを理由に,労働能力喪失期間は10年以下であると主張してきました。これに対し,当事務所の方では,労働能力喪失期間は原則として67歳までとされていることや,依頼者は後遺障害によって家事労働への具体的な支障が出ていること等を主張し,原則どおり67歳までの期間を労働労力喪失期間としてみるべきと反論しました。その結果、争点となった逸失利益については,当初の提示額より大幅な上乗せがあり,結果として,当初の提示額より約320万円増額した金額で示談することができました。
家事従事者(主婦)は,家事労働に対して対価を得ているわけではないため,逸失利益の請求にあたっては,収入の減少という目に見える形で逸失利益が存在していることを証明することが困難です。しかし,実際に後遺障害によって家事労働に支障が生じているのであれば,家事従事者であっても逸失利益は発生しております。この場合には,家事労働にどのような支障が生じているのかを具体的に主張することが重要となります。