この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
多数の土地建物があるだけでなく、アパートを経営していたり貸している土地も複数ある。相続発生後に、円滑に承継できるようにしたい。
解決への流れ
次の次の世代のことまで一緒に考え、また、法定相続人を集めた家族会議を開催し、風通しを良くした。公証役場と事前調整し、公証人に依頼者宅まで出張を要請し、依頼者様の肉体的負担が少なく作成に至った。
70代 女性
多数の土地建物があるだけでなく、アパートを経営していたり貸している土地も複数ある。相続発生後に、円滑に承継できるようにしたい。
次の次の世代のことまで一緒に考え、また、法定相続人を集めた家族会議を開催し、風通しを良くした。公証役場と事前調整し、公証人に依頼者宅まで出張を要請し、依頼者様の肉体的負担が少なく作成に至った。
本事例は、依頼者の方がアパートの経営や複数の土地を多数の方に貸しているため、相続発生後に賃借人とのトラブルが生じないようにしておく必要がありました。誰が何を相続するのか事前に確認しておくことで、相続発生後に、賃借人の方が誰に賃料を払えばいいのか、退去や土地の返還に関して誰が対応するのかなどに混乱が生じないようにしておくということです。また、資産が多いため、相続税も考慮しておく必要があり、税理士とも連携し、相続税対策を検討しました。不動産が遺産に含まれる場合には、次の世代だけでなく、次の次の世代のことも考慮しておくことが望ましいと思います。この事例で特徴的だったのは、実際にご自宅に伺ってみると、登記されている情報と現況が異なっていたということです。すでに解体して無くなっている建物が登記簿上は残っていたり、増築部分が登記に反映されていなかったりしたのです。これらは現場に行かなければ気づかなかったと思います。実態と異なる遺言書を作成してしまうと、トラブルのもとになりかねません。そこで、土地家屋調査士と連携し、まずは現況に即した登記に変更してもらうことになりました。資産管理の観点からも良い機会になったと思います。この事例では、法定相続人の方全員に当事務所に集まっていただき、家族会議を開いて、現在把握している資産の内容やこれまでの人生の中で様々な費用負担があったことなどを確認し合いました。税理士とも連携しながら、今回の相続だけでなく、次の次の世代の相続のことも視野にいれて、誰に何を相続してもらうことが妥当なのかを検討しました。最終的に内容が固まり、公証役場と事前調整し、公証人には遺言者の自宅に出張してもらうことになりました。遺言書作成費用や出張費用なども事前に確認しておいたことで、公正証書遺言の作成のための時間も必要最小限で済み、依頼者様の肉体的負担も最小限に抑えることができました。本事案は、依頼者様が親族の意向を聞き、そして親族の方も依頼者様が遺言書をどのような想いで作成するのかを事前に知ることができたことで、相続発生後に相続人間での紛争が発生する可能性を抑えることができたのではないかと思います。また、不動産管理についても、賃借人との対応を誰が責任を持って行うのかを明確にしておくことで、相続発生前から今後の対応について意識を高めていくことができます。私は遺言書を作成したいとご相談に来られた方に、「遺言書の作成は手段であって、目的ではありません」とお伝えし、なぜ遺言書を作成したいと考えたのか、今までの人生のことだったり、ご家族・子どもたちのことをじっくりとお聞きします。本事例も、単に遺言書を作成するだけでなく、ご家族の皆様の円満な関係が相続によって破壊されてしまわないように、子孫の将来を一緒に考えた事例でした。