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「主人がネトゲ依存症なので離婚したい」 妻の訴えが認められる条件とは?
2013年08月31日 18時00分

離婚の理由というと、性格の不一致や金銭問題、浮気などが思い浮かぶが、「配偶者がネットゲームにはまりすぎで離婚したい」と悩んでいる人もいるようだ。

Q&Aサイトや掲示板には、ネトゲにまつわる夫婦関係の悩みがいくつか寄せられているが、男性が「ネトゲ依存症」になってしまうケースが多いように見受けられる。「主人は仕事から家に帰ると5分もしないうちにPCの電源を入れてずっとネットゲームです。ここ数日まともに会話していません」「ずっとPCに向かい、話し掛けても『ゲームの音で聞こえなかった』と言います」といった書き込みが、女性と見られるネットユーザーから寄せられている。

家庭の外に愛人を作って浮気することに比べたら、夫が毎日、家に早く帰ってくるだけましかもしれない。しかし、ネトゲばかりに夢中で、夫婦間のコミュニケーションがほとんどないというのは、やはり問題だろう。こうした場合、離婚することはできるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

●「ネトゲばかりしている」という理由だけでは、離婚はむずかしい

「夫婦で離婚の合意ができれば、協議離婚ができますが、夫婦のどちらかが一方的に離婚を請求できる場合は、法律で決まっています(民法770条)」

このように東山弁護士は、離婚できる条件について説明する。では、「ネトゲ依存」は離婚原因になるのか。配偶者がネトゲにはまっていることは、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)といえるのだろうか。

「特に、離婚が認められるような重大な事情がない場合でも、数年間別居していれば、離婚が認められる場合があります。しかし、ネットゲームばかりしていたとしても、同居していて、少ないといっても会話がないわけではないという状況では、別居の場合と大きく事情が異なります。ネットゲームにはまっている期間もそれほど長いものではないでしょうから、離婚が認められることはないでしょう」

どうやら、夫がネットゲームばかりしているといって離婚を請求しても、その事情だけで離婚が認められることはなさそうだ。では、離婚が認められる場合は全くないのだろうか。

●「夫婦関係が崩壊したといえるかどうか」がポイント

「過去の判例では、ギャンブル依存症の場合について、多額の借金を負ったことや生活費も十分に家に入れなくなったこと等を根拠に、離婚を認めたものもあります。このように、『依存症』になったかどうかではなく、それをきっかけに夫婦関係が崩壊したという事情が認められれば、離婚が認められることはありえます」

ポイントは「夫婦関係が崩壊したといえるかどうか」ということだが、どのような場合が考えられるのか。

「たとえば、ネットゲームで課金をして多額の浪費を行ったような場合や、ゲームに対する考え方の違いから喧嘩が絶えないような場合が考えられます。また、子供がマネをする等の悪影響がある場合や、ゲームに没頭してコミュニケーションを取ること自体を拒否しているような場合、さらに、家事の分担を完全に拒否しているような場合などがあげられます。それらの程度によっては、離婚が認められることもあるでしょう」

本人にとっては趣味から始めたことであっても、夫婦関係の崩壊を招くような状態にまでなれば、離婚の請求が認められる可能性があるということだ。ネットゲームが好きな人は、頭に入れておいたほうがいいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

離婚の理由というと、性格の不一致や金銭問題、浮気などが思い浮かぶが、「配偶者がネットゲームにはまりすぎで離婚したい」と悩んでいる人もいるようだ。

Q&Aサイトや掲示板には、ネトゲにまつわる夫婦関係の悩みがいくつか寄せられているが、男性が「ネトゲ依存症」になってしまうケースが多いように見受けられる。「主人は仕事から家に帰ると5分もしないうちにPCの電源を入れてずっとネットゲームです。ここ数日まともに会話していません」「ずっとPCに向かい、話し掛けても『ゲームの音で聞こえなかった』と言います」といった書き込みが、女性と見られるネットユーザーから寄せられている。

家庭の外に愛人を作って浮気することに比べたら、夫が毎日、家に早く帰ってくるだけましかもしれない。しかし、ネトゲばかりに夢中で、夫婦間のコミュニケーションがほとんどないというのは、やはり問題だろう。こうした場合、離婚することはできるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

●「ネトゲばかりしている」という理由だけでは、離婚はむずかしい

「夫婦で離婚の合意ができれば、協議離婚ができますが、夫婦のどちらかが一方的に離婚を請求できる場合は、法律で決まっています(民法770条)」

このように東山弁護士は、離婚できる条件について説明する。では、「ネトゲ依存」は離婚原因になるのか。配偶者がネトゲにはまっていることは、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)といえるのだろうか。

「特に、離婚が認められるような重大な事情がない場合でも、数年間別居していれば、離婚が認められる場合があります。しかし、ネットゲームばかりしていたとしても、同居していて、少ないといっても会話がないわけではないという状況では、別居の場合と大きく事情が異なります。ネットゲームにはまっている期間もそれほど長いものではないでしょうから、離婚が認められることはないでしょう」

どうやら、夫がネットゲームばかりしているといって離婚を請求しても、その事情だけで離婚が認められることはなさそうだ。では、離婚が認められる場合は全くないのだろうか。

●「夫婦関係が崩壊したといえるかどうか」がポイント

「過去の判例では、ギャンブル依存症の場合について、多額の借金を負ったことや生活費も十分に家に入れなくなったこと等を根拠に、離婚を認めたものもあります。このように、『依存症』になったかどうかではなく、それをきっかけに夫婦関係が崩壊したという事情が認められれば、離婚が認められることはありえます」

ポイントは「夫婦関係が崩壊したといえるかどうか」ということだが、どのような場合が考えられるのか。

「たとえば、ネットゲームで課金をして多額の浪費を行ったような場合や、ゲームに対する考え方の違いから喧嘩が絶えないような場合が考えられます。また、子供がマネをする等の悪影響がある場合や、ゲームに没頭してコミュニケーションを取ること自体を拒否しているような場合、さらに、家事の分担を完全に拒否しているような場合などがあげられます。それらの程度によっては、離婚が認められることもあるでしょう」

本人にとっては趣味から始めたことであっても、夫婦関係の崩壊を招くような状態にまでなれば、離婚の請求が認められる可能性があるということだ。ネットゲームが好きな人は、頭に入れておいたほうがいいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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