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転勤続きなのに、引っ越し費用を会社が全額負担せず「火の車」! 法的義務はない?
夫の異動で引っ越すことになったが、会社は引っ越し費用の一部しか負担してくれないーー。その妻がネットの掲示板に、「費用の全額を会社が負担すべきではないか」と投稿している。
引っ越しをめぐる費用の総額はおよそ70万円。1年前に東京から北海道への異動が命じられたばかりなのに、もう北海道から神奈川へ引っ越すことになるという。会社は引っ越しの業者代しか負担してくれず、敷金や礼金は自己負担になるという。引っ越し続きで、家計は火の車になっているようだ。
会社が転居を伴う異動で発生する費用を全額負担する義務はないのか。舟木諒弁護士に聞いた。
アイドルへのプレゼントに「盗聴器」を仕込んだら罪に問われるのか
「ファンからのプレゼントに盗聴器が仕掛けられていた」——。アイドル公演やグッズ販売などを手がけている「AKIBA ON STAGE」がツイッターでそう発表し、話題を呼んでいる。
6月中旬、公式ツイッターで「頂いたプレゼントの中に盗聴器が仕込まれておりました。現在調査中でございます」と投稿した。どんなものが、何に仕込まれていたのか、詳細は不明だが、今後は「機械類のプレゼント」は受け取れないとした。なお、ツイートはその後削除された模様だ。
盗聴器入りのプレゼントなど、贈られた側にしてみれば「絶対にお断り!」だろう。ツイッターでも「本当にひどい話だ」といった声があがっている。漫画やアニメなどでは、アイドルに贈られたぬいぐるみの中に盗聴器が仕込まれていたというネタが出てくるが、はたして贈り物に盗聴器を仕込むという行為は、犯罪になるのだろうか。服部啓一郎弁護士に聞いた。
●盗聴そのものを禁止する法律は日本にはないが・・・・
「日本には、盗聴行為そのものを禁止する法律はありません」
服部弁護士はこう切り出した。では、日本は盗聴し放題の「盗聴天国」ということなのだろうか。
「そうではありません」と服部弁護士は切り返す。
「罪に問われる可能性はあります。たとえば、プレゼントの中に盗聴器を仕掛けるという行為は、無線通信にあたります。したがって、電波の周波数や電界強度によっては、『電波法』違反になるでしょう(同法110条1号、1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。
また、次のようなケースも考えられます。ファンから贈られたプレゼントが劇場公演日にアイドルの手にわたるとして、その前後に楽屋などで保管されているとしましょう。
そうすると、公演の打ち合わせや業務上のやりとりが盗聴されることもありえます。このようなやりとりは、可能性は低いものの、場合によってはアイドルグループの営業秘密に該当します。営業秘密を侵害した場合は、『不正競争防止法』違反に問われる可能性もあるでしょう(同法21条1号、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金)」
つまり、「盗聴する」という行為そのものが法律で禁止されているわけではないが、状況によっては、さまざまな法律で違法になる場合があるということだ。
●ストーカー規制法違反で摘発される可能性も
あまり知られていない法律が出てきたが、一般人の感覚からすれば、盗聴器を仕掛けられたとすれば、非常に気持ち悪いものだ。まして、アイドルはその日の公演にやってきたファンの中に、仕掛けた張本人がいるかもしれないと不安になるはず。人によっては、公演でのパフォーマンスに支障をきたすかもしれない。
「その通りだと思います。盗聴器を仕掛けられること自体、アイドルにとって、強い恐怖を与える行為でしょう。したがって、同様の行為が繰り返されることがあれば、『偽計業務妨害罪』または『威力業務妨害罪』が成立すると考えられます(刑法233条、234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。
また、相手の行動を監視していると思わせるような状態にすることを繰り返したということで、ストーカー規制法違反で摘発される可能性もあります(13条、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)」
このように説明したうえで、服部弁護士は、「ネット上に『盗聴は犯罪にならない』という情報が出回っている」と触れる。そして、「今後、同様の事例が多発すれば検挙される人が出てくるかもしれません。安易に考えて、盗聴することは絶対にしてはいけません」と警鐘を鳴らしていた。
能登半島地震「被災地に本を送らないで」 日本図書館協会が異例の呼びかけ…本が「ゴミ」になった大震災の教訓から
能登半島地震の被災地で、避難所に賞味期限の切れた食品が届けられるなど、「迷惑な支援物資」が問題となっている。
そんな中、公益社団法人「日本図書館協会」(JLA)は「緊急支援物資などで、被災地、特に避難所に直接、本を送ることはやめましょう」と呼びかけている。日本図書館協会が、一般を対象にこうした呼びかけをするのは初めて。
日本図書館協会によると、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、被災地に本が送られたが、置き場所に困ったり、読書ニーズのミスマッチなどが起こり、廃棄せざるをえないケースもあったという。
日本図書館協会は1月11日、公式サイトで「被災した図書館へ支援を考えている皆様へ」という文書を公開し、本を送らないよう呼びかけるとともに、被災地の支援には「長期的に興味を持ってエールを送り続けること」が被災地の励みになるとしている。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
2011年3月、東日本大震災が発生した直後、日本図書館協会に連絡が入った。
「被災地に本を送らないください」
兵庫県立図書館の職員からだったという。日本図書館協会・図書館災害対策委員会の西村彩枝子副委員長はその理由をこう話す。
「1995年に発生した阪神・淡路大震災のときに、本が大量に届いて大変だったそうです。ですので、東日本大震災では日本図書館協会は問い合わせがあった場合には、本を送らないようご案内していました」
ところが、個人が本をダンボールに詰めて避難所に送ったり、出版社などが本を大量に集めて被災地へ送る取り組みなどもあった。
「本はそもそも場所を取ります。また、本が届いても避難所には整理する人がいません。結局、あちこちの避難所で、片隅に本が積まれたままの状態が長く続いてしまいました。日本図書館協会では震災発生から1年後に現地の図書館の支援に入りましたが、そのときもまだ本がダンボールに入ったまま積まれているところがありました」(西村副委員長)
「善意」で送られた本だったが、そのまま廃棄されたものもあったという。
こうした事態を受けて、東日本大震災時に有志で創設された博物館・美術館、図書館などの被災・救援情報サイト「saveMLAK」は2012年7月、「本を送りません宣言」を公開した。
宣言では、次のような理由から、被災地や被災者に本を送らないと説明している。
現在、日本図書館協会は、石川・富山・福井・新潟の県立図書館と連絡を取り合い、現地の被災状況の把握に努めているという。また、公式ホームページで次のように呼びかけている。
「被災地から要請が出てくるまでは、本を送らないようにしましょう。被災地から要請が出た際には、日本図書館協会も広報の協力をしてまいります」
また、被災地では災害対応や復旧作業に奮闘していることから、直接問い合わせはしないよう求め、「saveMLAK」の被災情報などを確認することを推奨している。
では今後、どのようなかたちの支援が望まれるのだろうか。日本図書館協会・図書館災害対策委員会の末次健太郎委員長はこう説明する。
「これから被災地の図書館では、設備を復旧した後に本を補充していく作業になると思います。ですので、今後は本を直接送るのではなくお金で支援して、現地の方々が必要な本を選書し、そろえることが必要になっていくだろうと思っています」
現在の支援窓口としては、自治体などが設置している募金活動のほか、日本図書館協会が災害で被災した図書館のために使用している「図書館災害対策のための指定寄付金」も募集している。
また、日本図書館協会は1月15日、被災地の図書館関係者に向けて、過去の災害で得た経験や情報を基にした復旧作業時の注意点などを公開した。
坂口健太郎さんの同棲&三角関係…週刊文春が報道 結婚していなくても慰謝料は請求できる?
俳優の坂口健太郎さんと一般女性の同棲を9日11日発売の『週刊文春』(9月18日号)が報じました。同誌によれば、坂口さんは女性と同棲生活を送る一方で、永野さんとも交際していた時期があったそうです。
SNSでは4年も同棲していたことから、「慰謝料をもらえないのか」という声もありました。一般的に、同棲しているパートナーが浮気した場合、浮気相手に慰謝料を求めるなど法的な請求はできるのでしょうか。
別府市「パチンコで生活保護停止」を中止へ、弁護士「当然のこと」「調査も不適切だ」
パチンコ店や競輪場などに出入りしていた生活保護受給者に対して、保護費支給の一部停止処分をおこなっていた大分県別府市が、新年度から処分を中止することがわかった。県から2月下旬に「処分は不適切」として是正指示を受けていた。弁護士らでつくる市民グループの高木佳世子弁護士は「処分中止は当然のことだ」と話している。
別府市では、25年以上前から年1回程度、市職員などで構成するケースワーカーが市内にあるパチンコ店と競輪場を見まわる調査をつづけてきた。昨年10月には、調査の際に生活保護受給者25人を見つけて、指導・指示をおこなった。そのうち、期間中に複数回出入りしていた9人に対して、保護費支給を1〜2カ月間、一部停止とする処分を下した。
別府市が処分の根拠としていたのが、生活保護法の条文だ。同法60条には、「被保護者(=受給者)は(中略)生計の状況を適切に把握するとともに(中略)節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない」と定められている。
だが、パチンコ店などへの出入りを禁止する規定ではなく、大分県は2月26日、「生活保護法60条のみをもって処分することは不適切だ」として、別府市に対して是正指示をおこなった。別府市社会福祉課は3月18日、弁護士ドットコムニュースの取材に「パチンコ店などを巡回する調査そのものは適法なので、今後もつづけていく」と答えた。
AV出演の消防士が「停職6か月」 どこが「法律違反」だったのか?
アダルトビデオに出演し現金を受け取っていたとして、大阪府四條畷市の消防士2人が懲戒処分となった。
報道によると、2人は昨年8月に兵庫県の須磨海岸で見知らぬ男に「いい体をしている」「女性との性行為を撮らせてもらえないか」とスカウトされ承諾。その日のうちに近くのマンションでAV撮影に参加した。その後も同性愛者向けの作品などに数回出演し、業者から計7万円を受け取っていたという。7月下旬、市に告発文とDVDのコピーが送られてきたことで発覚したという。
2人は地方公務員法(営利企業等の従事制限など)に基づき停職6か月の処分となったという。もちろん、彼らの行動が軽率だったことに異論を唱える人はいないだろうが、具体的にはどの部分が「法律違反」とされたのだろうか。たとえば、AVに出てもそれが「無償」だったら、処罰はされなかったのだろうか。労働問題にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。
●地方公務員の「副業」が法律で禁止されているワケ
「地方公務員の副業は、地方公務員法38条で禁止されています。そもそも公務員に限らず、一般のサラリーマンでも、就業規則により、副業を禁止されていることが多いです」
このように高島弁護士は、公務員の「副業禁止」について説明する。そのうえで、副業が禁止されている理由について、次のように述べる。
「これは、他の仕事をすることで、肉体的や精神的に本業に集中できず、仕事に支障が出ることを防ぐためです。また最近では、秘密保持の観点から、本業の秘密を副業の際に利用したり、流出されたりしては困るということもあります。
また、公務員や従業員が、世間的にイメージの良くない副業に就くことにより、勤務先の社会的な信用を失わせることにもなるということも、副業禁止の理由です。この点は、一般のサラリーマンも、公務員も変わりません」
さらに、公務員については、民間企業の従業員よりも「副業禁止」が求められる度合いが強いという。
「公務員の場合、国民全体の奉仕者とされ、特定の業種に利益を与えていると疑われてはならない『職務の公正や中立性』を要求されます。また、国民に対して、義務の履行を求めたりする立場にあることから、公務員として『国民の信頼』を得る必要もあります。そこで、一般のサラリーマン以上に、副業については厳格に規制されているのです」
●公務員は、「信用失墜行為」も法律で禁じられている
公務員の「副業」禁止はこのような理由によるということだが、それに加えて、「国民の信頼」を維持するという観点から、法律では「信用失墜行為」も禁じられている(地方公務員については地方公務員法39条)。
「AV出演については、現在の国民の意識ではイメージが良くなく、公務員あるいは勤務する市の社会的な信用を失わせる行為と言えるでしょう。したがって、今回の行為は、副業禁止にも信用失墜行為禁止にも違反することとなります。
無償でも、AV出演は、公務員あるいは勤務先である市の社会的な信用を失わせることに変わりはありませんから、信用失墜行為禁止に違反し、処分の対象となります」
「AVに何回か出演しただけ停職」というのは気の毒な気もするが、公務員という立場を考えると処分はやむを得ないことのようだ。公共性の高い仕事に就いている分だけ、民間企業で働く人よりも厳しいルールが課せられているということだろう。
妊娠を理由に帰国迫られ「流産」 元実習生が勝訴した「裁判のポイント」は?
外国人技能実習生として働いていた中国人女性が強制帰国を迫られたとして、会社と受け入れ団体に解雇無効などを求めた訴訟で、富山地裁は7月、女性側勝訴の判決を言い渡した。判決は8月に確定した。
女性は2010年12月に来日し、富山市の食品加工会社で働いていたが、11年6月に妊娠が判明。すると受け入れ団体は無理やり車で富山空港に連れて行き、強制帰国させようとした。その後、女性は流産。このことについて女性が記者会見を開いたところ、会社側は女性を解雇した。
報道によると、女性は来日前、中国側の送り出し機関との間で実習中の妊娠禁止の規定を含む書面に署名していた。だが、地裁はこれを「不適切な契約内容」「実習制度の趣旨と公序良俗に反する」と指摘、解雇を無効とした。さらに帰国の強制と流産の因果関係も認定し、会社と団体に損害賠償と未払い賃金の支払いを命じた。
女性の主張が全面的に認められた形だが、何がポイントになったのだろうか。中森俊久弁護士に解説してもらった。
●外国人実習生に対しても労働関係法令が適用されるようになった
「そもそも外国人研修・技能実習制度は、途上国への技術移転を通じた国際貢献が目的です。研修生・実習生は、受け入れ期限の3年間に様々な技術を身につけて、本国へ帰るというのが建前となっています。
しかし、それは名ばかりで、実際には、農業・漁業・縫製などに従事する人員不足の解消のため、『単純労働力』として利用されている実態があります」
――技術は伝えず、単に「安い労働力」と見なして、下働きをさせているということ?
「そのような側面は否定できません。本来あるべき目的との乖離の中で、外国人研修・技能実習生に対する様々な権利侵害の事実が浮き彫りとなっています。パスポートを取り上げ、時給300円で残業をさせるなどといった不当な人権侵害が、これまでも多数報告されています。
このため、2010年7月に改正入国管理法が施行され、これまで研修期間とされた1年目の実習生に対しても労働関係法令を適用する等の制度変更がなされました」
――現実への対処ということだろうが、それでは「外国人研修・実習生に単純労働をさせている」ことを、政府も事実上認めたように読めてしまうが……。その改正で事態は改善されたのだろうか?
「いいえ、残念ながら。同年10月に来日した中国人技能実習生に対して本事件が発生していることからも分かるように、受入先と技能実習生との支配従属的な関係等から生じる問題は後を絶ちません」
――そういった背景・経緯を考えると、今回の判決は当然?
「その通りですね。妊娠禁止の規定を含む契約が公序良俗に反することは明らかで、本判決は、当然のことを認定したものです。
こういった技能実習生の処遇は、早急に改善する必要があります。さらに、目的と実態が乖離した本制度を抜本的に見直し、外国人労働者の受け入れについて正面からの議論を行うことも必要でしょう」
元裁判所職員が語る「裁判記録の捨て方」 事件の内容わからず決裁ハンコも…実態とは
神戸連続児童殺傷事件など重大な少年事件の記録が廃棄されていたと今年10月、判明したことをきっかけに、オウム真理教の解散命令に関する記録や永久に保存するはずの民事裁判記録が捨てられていたことが次々と明らかになった。
各地裁で記録をつかさどるのは、書記官を中心とした職員だ。「捨てても良いか何度も資料に目を通した」との証言がある一方、「上司は事件番号を見るだけで内容を検討せず決裁していた」という人も。時代や地域によって対応が違うこと、また個人の資質に頼らざるを得ない実態が浮かんできた。
忘年会で飲み過ぎて駅のホームで「ゲロ」 嘔吐者の「法的責任」はどうなる?
忘年会シーズンを迎え、歓楽街は多くの人々でにぎわっている。しかし、つい飲み過ぎてしまったのか、トイレに駆け込むこともできず、電車の中や駅のホームで吐いている人を見かけることも多い。
あるネット掲示板にも「吐いた人がゲロを放置して居なくなることが多い」という書き込みがあった。その投稿者は「吐いた人」の責任に触れ、「掃除をさせられたり、なんらかの償いをさせられるのでしょうか。法的に何らかの義務が発生するのでしょうか」という疑問を投げかけていた。
さらに、他人の吐いたものが自分の服や体にかかってしまったと憤る声も、ネット上に多数書き込まれている。電車内やホームで嘔吐すると、どのような法的問題が生じるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。
転職活動で「子どもがいる」と伝えるべき? SNSで激論、「隠すのは不誠実」vs「女性だけ不公平」
転職活動をする子育て世代にとって、採用面接で「子どもがいる」と伝えるべきかは悩ましい問題です。
SNSでは、転職活動中の女性の体験談に賛否の声が上がりました。その女性は「小さい子どもがいることは自分から言わず、内定後に勤務時間を相談した」といいます。
これに対して「隠すのは不誠実では」「仕事に支障がなければよいと思う」「男性と違って、女性だけが子どもがいることを言わなければならないのはおかしい」など、さまざまな意見が寄せられていました。
そもそも企業側が「お子さんはいますか?」と確認することは許されるのでしょうか。また、応募者が子どもの有無を伝える法的義務はあるのでしょうか。村松由紀子弁護士に聞きました。